人体の神秘・生命を感じ、塊の構築を考え、奏でる。そこには論理も原理も存在する。

 

前芝武史 彫塑集 1

 

《菫Ⅱ》 2021年度 日展 (国立新美術館) 会員出品


 

2021年11月時点では、最新作になります。
コントラポストで背筋を張った姿勢・・・
緊張と弛緩の融合に惹かれ制作を試みた作品です。
骨格を見ると人体は連続する梃子のように見えます。
そしてその梃子を牽引するための筋肉が走行しており、それらを皮脂が包む格好をしています。
筋の走行はまるで川の流れのようです。狭まったり、纏まったり、、形を変えて広がったり。
構造と構成を考えながら形を建築し、粘土で命を奏でる様な仕事がしたい、いつもそう思います。

 

《菫》 2020年度 日展 (国立新美術館) 会員出品



 
今回の作品は弥勒菩薩像のポーズを借り、現代の女性をモデルに制作しました。
着衣像制作の場合でも、衣の中身…即ち人体、踏み込んで言えば筋骨、更に言えば重心や力線、正中線や対主線の表出を狙います。人体彫刻というのは、がやがやと装飾を施したようなものではありません。また表面をきれいに整える事でもなければ、面白いマチエールを作ることでもありません。あくまでフォルムの構築の美学なのです。
 
 
 

《時》 日展 無鑑査出品(国立新美術館)、準会員推挙
    公募団体ベストセレクション美術2015出品(東京都美術館)

 
 
人間という最も罪深い存在。
原罪と疲れと、深い酒と眠り。
彫塑というのは、どちらかといえば形而下学的性格の強い領域です。
しかし芸術である以上、人間の内面に迫る内容の追求もあってよいものです。
塊の組み立てをキーワードとしながらも、
研究作品は、実に色んなものをテーマとしていきたいと思っています。
 
 
 
 

《砂の塔Ⅳ》 2017年度 日展 準会員出品 (国立新美術館)


 

物理的に見ると、物体が安定して建つには三点が必要。
また進化論を見ても…直立で行動するのはホモ・サピエンスのみ。
人間が二本足で立つというのは、実に不思議な事です。
粘土を用いて形を考え、感じさせようという試みをなす彫刻家にとって、
立像は、二本足の塔を建築する仕事のように思えます。
今回は、ギリシャ時代を彷彿させる衣装をまとった女性の立ち姿の形で制作。
そこに強さと儚さを共存させようと試みた作品です。
 
 
 

《射手座Ⅲ やわらかな日差しの下で》 
2008年度 日展 第3科彫刻 (国立新美術館)

 



着衣の女性の自然な動き。
モデルと対峙しながら
有機的な構築、即ち
生命感のある建築を目指した作品です。
 
 
 
 

《前芝武史 作品群》 兵庫教育大学 作品保管庫




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