美術教育学/専門職学位課程

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前芝武史
美術教育学/専門職学位課程

 
Maeshiba Method of Modeling Mass

大学では彫塑分野を担当する彫塑家ではありますが・・・

滋賀大学教育学部小学校教員養成課程(美術)卒業、
筑波大学大学院博士課程芸術学研究科(芸術教育学)単位取得退学、

筑波大学附属桐が丘養護学校美術科教諭を経て、

兵庫教育大学実技教育研究指導センター助教授で本学に採用、

現在は、兵庫教育大大学院(専門職学位課程)で小学校教員養成特別コースを兼任し、

初等図画工作(授業責任者)や、特別支援教育(授業責任者)、図画工作科教材研究、初等図画工作教育法等の授業も担当する他、

美術科教育学会での学会誌査読委員、2023年度兵庫大会実行委員に加え、

大学美術教育学会で、学会誌査読委員・学会誌編集委員・教科内容学検討委員会彫塑部門代表・地区全国理事・総務局理事等を歴任…

広島大学大学院障害科学事業でのインクルーシブな美術教育についての講演や、
教育論文(教科内容学や教育実践)も多数執筆、学会での受賞もございます。

私の美術教育では、特に中等教育に関し、デッサンや素描もある程度以上重視する考えで、そこに研究や実践の特徴があります。
 
 

【授業と板書】 左側は彫刻とは何かの講義。右側は、教育とは何か、芸術とは何かの講義。教員養成大学では、自分自身も教員として、ある種のお手本を示さなくてはなりません。作る、素描する、執筆する、話す、板書する★ 一見概略と思いきや、ガッツリと深みを抉る様な授業を目指しています。
 
 
インクルーシブ教育(図工・美術)の授業デザインの講演資料
広島大学大学院障害科学事業の招聘。
 
 

【芸術とは何か】
アート、アートとよく言われますが、本当の意味は何だろう・・・。美学の見地から見れば、芸術とは何か、すぐにわかります。これを突き詰めていくと、西洋思想や教育学などもよく見え、芸術が既に学問の一領域であることがよくわかります。
 
 

【豊かな情操教育・図工/美術教育とは何か】学生への手書きのメッセージです。

 
 
刺激と反応。実験心理学では、これをもってして感性の有無を見極めます。即ち、、、ミミズにも感性はある!!然し、ミミズには人間の様な悟性・理性はありませんね。
 
 
教育を考える…取分け「全人的教育」、「人間性の形成」を考えたとき、感性のみを扱うという事柄は人間の「感性・悟性・理性」が不可分であることを思えば、不自然なことととなります。「感性の一人歩き」・・・これが芸術系ではしばしば、まやかしの言葉になっていまいか、と思うことがあります。 これでは他領域の方々からは理解されませんよね。教育学を考える時、これらは一体化したものとして常に扱うのが心理学の常です。

【豊かな情操…感性の発生序列(前芝説)】
 ヘッケルの考えに動物の進化史を乗せ、そこにそれぞれの動物の行動を見出し、感性の発生の序列を考えたもの。
 

  僕は、美術分野で言われる感性や情操について、このような考えを持って指導にあたっています。小学生高学年未満にデッサンがどうの言うのは良くないですが・・・美術が嫌いになりかけている子供や、苦手意識の強い子供に、こうしたものを楽しく分け与えていくことも重要であると思っています。

他教科、他領域からも理解される美術教育を早急に考えていく必要があります。

 

【講義 「西洋思想から教育学を見る」】 
人間とは何か。人間の欲求は、サルから進化して以来、どこに向いたのか。 教育や芸術を考える。
写真は真面目な顔して写ってますが、、、実は結構笑いも織り交ぜてるんですよ★

 

【美術教育学の講義】 
美術教育学の講義は安易に実践に結びつけるのではなく、教育原論や芸術学、人間科学と結合したところから始めます。
 
 
 
 【創造行為とはどこから来たものか】
動物が本能的に「快」を求め、道具を用いたり、作ったりするところから、創造行為は始まったと考えられます。そこに、より贅沢な感性や高度な知性が加わり、所謂、人間の創造行為となって行きました。前芝はそのように考え、講義や授業を行っています。
 

【美術と教育の関係性について】
筑波大学附属桐が丘養護学校 高等部美術科 教諭時代、前芝の美術教育の実践の裏にはどのような考えがあったのか、について研究発表。
第1回 Art Education Net ひょうご (於・兵庫教育大学神戸ハーバーランドキャンパス)

【教育学会シンポジウム資料】(大阪大谷大学)
美術を通した教育を考えることも大切だとは思うのですが、美術と教育、これを考えることも大変重要なことです。兵術学と教育学。この深淵を考えると哲学よりも更に深く・・・西洋思想に行き着き、ここに二つの完全な一致と同義性が見て取れます。自分が探求してきたこととそれぞれの意味の深淵を混ぜ込んだシンポジウム講演発表資料。
 

色んな価値が求められ、ひっくり返したオモチャ箱みたいな世界。美術なんて訳が分からない、よく耳にする言葉ですが・・・

整理すれば簡単な話です。

私の専門とする彫塑は、純粋美術として、応用美術の基礎学であると思っています。

自分の取り組みでは、かなりアカデミックな内容を扱っています。アカデミック・・・新鮮味の無い、そんな意味で使われがちですが、この言葉の本来の意味は・・・「学究的・大学機関等が教えるような内容」といった意味があります。

時間・空間・エネルギー。私が重要視している事柄です。この言葉は、本当にいろんな学問・芸術・事象の本質を明確にする言葉です。
 
数学は完全な純粋学問。完全な論理だけで構築される完全独立可能な世界。これに対し、芸術は「雑学」と言われます。この雑学・・・裏を返せば、本当に様々な学術領域とくっつきあった関係であることが見て取れます。それが・・・芸術の大きな特性の一つ。即ち、造形芸術の学際性。
 
美の希求・・・これこそが文明・文化・経済・生活水準を根底から飛躍させ、人類は驚異的な叡知・知性を持つに至ったと思われます。
 

 

【造形にも「ロジカルな側面」と、原理がある】
塊で形の構造や構成を考えるようになると、「ああすれば、こうなる、こうすればああなる」という思考の道筋が生まれてきます。この手の思考は非言語的思考で、その性格はチェスや将棋にも似た思考であることに直ぐに気が付くことでしょう。まるでそれは、数学にも似た思考のつながりです。そしてまた、その塊の寸法・位置・方向・形の種類(ex.球・円筒・円錐・直方体・円台・卵型・・・等)でほぼ全てが決まってくることがお分かりいただけると思います(前芝の発見・・・世界初です)。
 
Maeshiba Method of Modeling Mass
それはまるでチェスやパズルのようでもあります。
即ちこれは、何処までもロジカルなもの。
ロジカルな側面を持てば、自分の感性も表現しやすくなりますし、この世界で見えてこなかったものが、一気に見えてくる★そういうものです。
だって、、X+Y=5・・・これじゃあ誰も解けないでしょう。一つの式に未知数ばかりでは、全てが困難になって当然です。
 
 
そして今後、、、
ピカソ型ともいえる個性を重視する造形教育をベースとしながらも、そこに、レオナルド型ともいえるそれぞれの領域の専門性を重視した教育が、学年を経るごとに徐々に加算され、豊かな情操を養えるものになって行く必要性を感じます。
感性・個性・独自の表現・・・それらも勿論大切なのですが、アカデミックな要素を盛り込んだものを融合させていく必要を感じています。特に学校教育が、全人的教育(人間陶冶・・・Almighty)を標榜する限り、レオナルド・ダ・ヴィンチを彷彿させる内容論を分り易く、楽しく扱っていく必要があると思っています。
 
デッサンは美術嫌いを増やすと言いますが、本当にそうでしょうか。
即ち、Maeshiba Method of Modeling Mass。
 

前芝武史
 美術教育学/専門職学位課程